COLUMN

PROJECT

「ウォンツ」と「ニーズ」

都心の超一等地に建つハイクラスレジデンスを
お客様が購入され、リノベーションのご依頼を頂きました。

 

 

 

利便性の高い立地であるにも関わらず、
緑豊かな丘の上にあって、
都会の喧騒と一線を画した静寂な環境です。

 

 

建築はクラシックとモダンをミックスした格調高い外観。

 

 

エンパイアステートビルなどマンハッタンの摩天楼に代表される、
パリのアール・デコから影響を受けたデザイナー達が
アメリカで新たな表現を模索して生まれたニューヨーク・デコを連想します。

 

 

 

 

上質ながらも華美さを抑えたメインエントランスには
日本の伝統をさりげなく伝えるオブジェが飾られています。

 

 

またオブジェ背面は「切込接ぎ」という石積み手法を用いた、
存在感あるアートのような壁面です。

 

 

 

 

専有部ドア右側面パネルは銅板槌目仕上が採用されています。

 

 

ハンマートーンとも呼ばれるこの表現は金槌などを使って、
手作業でひとつひとつ丹念に模様を打ち出す
伝統的な職人技法です。

 

 

 

一見して目を奪われるような意匠ではなく、
目を凝らせば繊細なこだわりが伝わってくる。

 

 

感性に響き、時間軸に囚われず、
飽きのこない空間表現を目指したのだろうと感じます。

 

 

言い換えれば、ディベロッパー側は
この空間を選ぶであろう住人のニーズを想定して、
このような本物志向の設えを施したとも言えると思います。

 

 

ところで私たちは日常会話で「ニーズ」という単語を何気なく使いますが、
「ニーズ」と「ウォンツ」をセットで考えることで、
よりお客様の本質的欲求に近づく手助けになります。

 

 

一言でいうと、「ニーズとウォンツ」は「目的と手段」に
置き換えると解りやすいのではないでしょうか。

 

 

例えば「ミネラルウォーターが欲しい」場合、
ミネラルウォーターは手段です。

 

 

目的は「喉を潤すこと」ですから、
必ずしもミネラルウォーターでなくても良いわけです。

 

 

アイスコーヒーやオレンジジュースでも良いし、
もしかすると生ビールが喜ばれるかも知れません。

 

 

ともあれ、私たちは案外「ウォンツ」に囚われてしまい、
「ニーズ」を見逃している場合があるように感じます。

 

 

 

 

今回のご依頼では、お客様の「ニーズ」をしっかり捉えて
上質な空間をさらにグレードアップできるように努めたいと思います。