藤井大丸呉服店を1870年(明治3年)に創業したのちに
百貨店として1935年に開業して以来、日本の百貨店創生期の一翼を担い、
現在は若年層をターゲットとしたセレクトショップが入居する藤井大丸。
その藤井大丸に、独自の世界観をハンドメイドで表現する拘りのブランド、
GARNIが出店したのは2006年3月でしたが、
14年を経過してフロア移転することになりました。
百貨店での工事は原則夜間工事。
閉店時間後もショップの残務があるため
工事に取り掛かれる時間は遅くなりますし、
開店時間直前まで作業はできませんので
限られた時間の中でスピーディーな工事が求められます。
初日はタイルカーペットの貼替えからスタート。
床材を貼り終えた場所にすぐさま什器を据え付けて
特殊塗装「クライマテリア」の下地処理工程を行います。
素材感と高級感を追求して生まれた「クライマテリア」は
メーカーが指定した職人しか施工ができないことからも
その品質へのこだわりがうかがえます。
下地処理、下塗り、上塗り、研磨のプロセスが必要で
少量の施工であっても4日間もの工程が必要となります。
2日目はウォールナットで制作された特注ショーケースへの
照明取付配線工事。
ケース内の商品を際立たせるために
ライティングプランは極めて大切です。
商品アイテムを照らす色温度やビーム角など慎重に機種を選定します。
コンパクトなショーケース用LEDライトは
ランプのみの交換ができません。
ガラス天板が固定されており、器具を上部に引き抜けないため
万一の器具不良に備えて器具本体ごと交換できるように設計します。
しっかりとメンテナンスを考慮しつつ、意匠性を損ねないディテールを
実現するのがデザイナーの腕の見せどころです。
クライマテリアの施工は下塗りから上塗り工程に移り、
手間暇のかかる作業もようやく後半に。
最終の磨き工程を終えたクライマテリアにロゴサインを取付。
サインからの光が表情豊かな壁のテクスチャーを浮かび上がらせて
ブランドのグレード感を表現してくれています。
ショーケースにさり気なく設えられたロゴは
このケース用にGARNIの工房で特別に作成されたオリジナル。
GARNIのリングに通じるデザインが施されたロゴから
GARNIならではのハンドメイド感が伝わってきます。
限られたスペースの中で効率よく動けるように
接客用のカウンターはバタフライ式に。
必要な時だけ使用することで、
通常時の店舗オペレーションを円滑にします。
最後にプロのクリーニングによる竣工清掃。
言うまでもなくクリーニングにもクォリティが求められます。
弊社では25年間一貫して同じクリーニング会社に依頼しており、
盤石の信頼関係のもとで丁寧に作業を行います。
キックオフミーティングからおよそ2ヶ月。
4日間の工事が無事完了。
ショップの空間デザインはブランドの世界観を表現すると共に
商品アイテムの魅力を引き出すこと。
そしてショップスタッフとお客様の円滑なコミュニケーションを
サポートすることが使命です。
ディスプレイや収納効率、メンテナンス性を考慮しながら
ハンドメイド特有のオーラを纏う素材を採用した結果、
GARNIのオリジナリティを感じて頂ける空間に仕上がりました。